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2022.03.28| オンラインジャーナル

デジタルアーカイブにおける『肖像権ガイドライン』の試み

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筆者

川野 智弘川野 智弘(かわの ともひろ)

レゾネイト法律事務所 代表弁護士(第二東京弁護士会所属)

デジタルアーカイブ学会 法制度部会メンバー

第二東京弁護士会 情報公開・個人情報保護委員会 委員長(2021年~)

著作権法や商標法を中心とする知的財産法関連の業務に注力するほか、情報法制やアーカイブ分野に対し関心をもって活動している。

主な著書に「エンターテインメント法務Q&A(第3版)」(共著・民事法研究会・2021年)、「令和2年改正 個人情報保護法の実務対応-Q&Aと事例-」(共著・新日本法規出版・2021年)、「未来への記録-リスクを回避するための自治体の文書管理」(共著・第一法規・2020年)など。

 

− 目次 −

1. はじめに
2. 立ちはだかる「権利の壁」としての肖像権
3. 肖像権ガイドライン策定の経緯
4. 肖像権ガイドラインの考え方
5. 活用可能性

 

1. はじめに

みなさんも、デジタルアーカイブという言葉をどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。デジタルアーカイブは、様々なデジタル情報資源を収集・保存・提供する仕組みとして、特に文化的・歴史的な資源、知識や技能を共有し、将来の知的活動を支える基盤的役割を果たすものであり、2020年にはジャパンサーチが公開されデジタルアーカイブ相互の連携が強化されるなどし、社会全体でのデジタルコンテンツの利活用のさらなる発展が期待されます。しかし、デジタルアーカイブの現場では、これまで、著作権などとともに、肖像権が「権利の壁」として立ちはだかってきました。

 

肖像権は法律に明文の規定がなく、裁判例で認められた権利ですが、いかなる場合に権利侵害となるのか、権利の対象やその保護はどの範囲に及ぶのか、との点について明確な線引きがないため、デジタルアーカイブ機関に限らず、様々な場面において、権利処理担当者の頭を悩ませてきたことと思います。

デジタルアーカイブ学会(以下「DA学会」といいます。)では、デジタルアーカイブ機関の現場担当者が肖像権処理を行うための拠りどころとなるようなガイドラインを提案することができないか、約3年にわたって議論し、検討を重ねてきました。そして、2021年4月に、「肖像権ガイドライン~自主的な公開判断の指針~」を正式公開しました。

 

私は、DA学会の法制度部会・肖像権プロジェクトチームの一員として、同ガイドラインの策定に携わりました。同ガイドラインは、非営利のデジタルアーカイブ機関における権利処理を念頭に策定されたものですが、その考え方は、営利非営利を問わず、写真や映像データを取り扱う様々な場面において、参考にしていただける部分があるのではないかと考えています。そこで、本稿ではガイドライン策定の経緯やその考え方をご紹介したいと思います。

 

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