日本組織内弁護士協会(JILA)は、組織内弁護士およびその経験者によって創立された任意団体です。

オンラインジャーナル

ONLINE JOURNAL

2021.04.13| オンラインジャーナル

特許侵害紛争に巻き込まれそうになったら?慌てず過小評価せず初期対応!

よろしければ情報をシェアしてください!

4. 自社の製品/サービスを分析する

次に「己を知る」段階です。これは、問題の特許に関連する自社の製品/サービスの情報を収集することを意味します。特許権侵害の有無は、対象特許の技術的範囲に問題の製品/サービスが含まれているか否か、という観点で検討されます。

 

精緻な分析については、特許を専門とする弁護士・弁理士の鑑定を得ることが望ましいですが、まず初期対応としては、「相手方特許に関連する自社の製品/サービスとして、どのようなものがあるのか?」「その製品/サービスの売上はどのくらいか?」といった情報を収集することが、特許侵害が認められた場合のビジネスリスクを評価する上で重要です。

 

なお、特許権者からのレターや警告状において、自社製品/サービスが名指しで特定されているかもしれませんが、「他にも関連する製品/サービスがないか?」という幅広い観点で確認するとよいでしょう。その上で、3で確認した特許技術(発明)が自社製品/サービスで使われているのか、また、当該技術の重要性がどの程度なのかを検討することになります。

 

特許侵害のリスク検討
損害賠償請求 差止請求
● 対象製品やサービスによって得た利益を上回る損害賠償請求が認められ得る ● 日本では、特許侵害が認められるとほぼ自動的に差止請求も認容される
● 金銭的インパクトを見積もるためにも、関連製品やサービスの範囲とその売上・利益率について要確認 ● 自社ビジネスにおける対象製品・サービスの重要性把握+特許技術の位置づけ検討

 

5. 社外専門家(弁護士・弁理士)を活用する

特許侵害のリスクを評価する際には、特許クレームの解釈を踏まえた被疑侵害製品/サービスによる充足の有無という専門的分析が欠かせません。そのため、自社内に知的財産部等の専門部署がない場合には、特許を専門とする弁護士・弁理士に早めに相談をすることがお勧めです。

 

その相談の準備段階としても、3と4でご説明した、相手方とその特許の情報収集や自社製品/サービスに関する検討は有益です。

 

また、仮に自社内に知的財産部等の専門部署があり、一定の特許分析を行うことができる場合でも、関連する製品/サービスの売上規模が大きい等の理由により、特許侵害が認められたときの潜在的ビジネスリスクが大きいと予想されるときは、やはり慎重対応のために、外部の弁護士・弁理士に相談することが望ましいです。

 

なお、特許侵害を否定する理屈としては、自社の製品/サービスが対象特許の技術的範囲に含まれていない、という非充足の理由に加えて、対象特許に無効理由がある、という特許無効の理由も用いることができます。

 

相手方の特許を無効にするための材料集めや分析についても、通常、特許専門の弁護士・弁理士の協力が必要となりますので、その観点でも早めに社外専門家への相談を検討ください。

よろしければ情報をシェアしてください!