日本組織内弁護士協会(JILA)は、組織内弁護士およびその経験者によって創立された任意団体です。

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2021.01.12| オンラインジャーナル

フリーランスの拡大とその課題

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5. 今後の展望と課題

上記ではフリーランスの法的保護に関する議論の展開を見てきましたが、前述のとおり、フリーランスという働き方が拡がることは、一般的には、働き方改革の目指す柔軟な働き方の実現と、労働市場の活性化といった観点からは望ましいものであると考えられます。

 

従って、フリーランスの法的保護により、フリーランスという本質的には自由で独立した働き方が阻害されたり、発注者である企業が利用を避けてしまうような規制を設けることは、本末転倒であると思われます。その意味において、現在行われているフリーランス保護に関する各種議論は、フリーランスが不当に扱われ、新たな格差問題の温床になるような状況を生まないように適切な保護を図りつつ、フリーランスが自由な働き方の中でその能力を存分に発揮できる環境を整備するための基礎作りという、非常な重要な意味を有しており、今後の議論の展開を慎重に見守る必要があると思われます。

 

また、フリーランスに関する議論はフリーランスの保護という側面が注目されがちではありますが、フリーランスという働き方が日本において今後ポジティブな形で定着、拡大するかは、終身雇用や年功序列といったいわゆる日本型雇用の今後の展開とも深く関連しているものと思われます。

 

すなわち、近時、組織における肩書や地位ではなく、個人のスキルや能力を中心とする人事・雇用制度(いわゆるジョブ型雇用)が注目されていますが、このようなジョブ型雇用が拡がり、労働者がそのスキルに応じた就職・転職をすることが一般的になると、個々のスキルに応じて、企業から独立してフリーランスになり、その後また他の企業に就職するといった、労働市場における流動性が高まり、フリーランスという働き方が労働市場における重要な一部となっていくことが考えられます。

 

このように、フリーランスという働き方が今後どのように拡大していくかは、その法的保護の有無のみではなく、日本型雇用の今後の在り方とも深く関連していると思われます。

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