日本組織内弁護士協会(JILA)は、組織内弁護士およびその経験者によって創立された任意団体です。

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2024.07.05| オンラインジャーナル

企業内弁護士の中途採用を成功させるには – 中途採用市場のトレンドを踏まえ解説

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3. 企業内弁護士採用が難しい理由

前述したように、企業内弁護士の需要は高く、採用は簡単ではありません。
また、その他にも弁護士特有の事情が、さらに難易度を高くしています。
その事情を解説していきます。

企業内弁護士の年収相場が高水準である

採用においてまず重要となるのが、採用ターゲットの年収水準と提示年収の相場があっているかどうか、です。日本組織内弁護士協会が2024年に実施したアンケートによると、企業内弁護士の年収は以下のような状況となっています。

 

 

集計結果をみると、企業内弁護士の50%以上が年収1000万円以上となっており、またこの割合は年々増加しています。

上記を参考に、相場に合致する年収提示ができるのであれば、採用競争力の一定ある条件になるかと思われます。

 

しかしながら、既存の人事制度に照らし合わせると採用優位な報酬提示が難しいケースは多く存在します。そのような場合、例えば総合職採用とは別のスペシャリスト採用枠の設定や、弁護士対象の新たな手当等の設計などを検討する必要があるかもしれません。

 

また、採用目的にもよりますが、報酬水準が合致しやすい若手弁護士をターゲットに絞る事も一つの打ち手として考えられます。

報酬水準での訴求やターゲット変更が難しい場合は、働き方など別軸での動機づけが必要となります。

 

スキルを見極める事が難しい

採用頻度が少ないかつ専門職である事から、スキルセットの見極めが難しいと言う点が挙げられます。

例えば、コンプライアンスに強い人材を採用したい、といっても、どの法令に強い人材が望ましいのか、ルール作りから行うのか、育成研修をメインとするのか等によって、求められるスキル・経験は異なるでしょう。

 

採用時には、法務部門と採用部門とで求める人物像をすり合わせておく、初回面接には法務部門のトップが入る、等の対応が求められます。

採用担当者が全てを理解している必要はありませんが、法務部と円滑なコミュニケーションを行える水準の業務理解があると、より良い採用活動に繋がると思われます。

 

弁護士特有の傾向に対する理解が薄い

弁護士は企業でキャリアを歩んできた方と異なる部分が多く、その点を採用担当者が理解しているかどうかで、選考対応などが異なってきます。

 

例えば、弁護士は司法試験合格後、80%以上がファーストキャリアで法律事務所を選択しており、企業内弁護士は全体のわずか3%台となっています。

法律事務所の選考を受けた経験はあっても、企業面接に慣れていない方は多いと言えるでしょう。

 

上記のような傾向を踏まえ、面接での質問項目を整理する事も肝要かと思われます。

また、事務所所属の弁護士は、業務委託で執務している事が殆どです。

その為、企業内弁護士として雇用される事で、保険負担や福利厚生まわりの条件が好転するケースが多く、事務所所属で得ている報酬額より下がったとしても、可処分所得が増える事があります。

 

また拘束時間の違いから、1時間あたりの報酬額に換算すると企業内弁護士の方が良いという事もあります。このように、弁護士特有の傾向などを把握する事で、選考の進め方や訴求ポイントの見直しが可能です。 

 

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