2021.07.07| オンラインジャーナル
2021年新たに導入される薬機法の課徴金制度
5. 健康食品業界への影響は?
薬機法は、「医薬品」の定義について以下のとおり規定して、実際に効能効果があるか否かを問わず、医薬品的な効能効果を目的としていれば「医薬品」に当たるとしています。
2条(定義)
この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
そのため、健康食品に薬効をうたって販売した場合、その健康食品は薬機法上の「医薬品」に該当します。薬機法68条は、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の承認を受ける前の医薬品等の広告を禁止していますが、この規定は、健康食品に薬効をうたって販売することにより、その健康食品が医薬品とみなされる場合にも適用があります。薬機法68条違反も改正された措置命令の対象となりますので、今後、措置命令が活用されて、薬効をうたった健康食品の取締りが厳しくなる可能性があります。
また、薬効をうたった健康食品が医薬品とみなされる場合、論理的には、その広告された薬効が虚偽誇大なものであれば、薬機法66条違反となり課徴金対象行為となる可能性があります。
したがって、今回の改正は、医薬品、医療機器、化粧品など薬機法の本来的な規制対象だけでなく、健康食品業界にも大きな影響を与える可能性があり、今後の当局の動向には十分注意する必要があります。