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2021.07.07| オンラインジャーナル

2021年新たに導入される薬機法の課徴金制度

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4. 景品表示法との比較

薬機法の課徴金の対象行為は、薬機法66条1項に規定された医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布です。

 

一方、景品表示法の課徴金の対象行為は、商品・サービスの品質・規格その他の内容について著しく優良であると誤認させる表示(優良誤認表示)と商品・サービスの価格その他の取引条件について著しく有利であると誤認させる表示(有利誤認表示)です。

 

薬機法の虚偽誇大広告と景品表示法の優良誤認表示は、一部重複しています。薬機法は医薬品等の「名称、製造方法、効能効果又は性能」に関する広告が対象ですが、景品表示法は、医薬品等に限らず、商品・サービス全般が対象とされ、それらの「品質、規格その他の内容」に関する表示が問題とされます。薬機法では、「規格」が虚偽・誇大の対象に含まれませんが、規格に関する虚偽・誇大広告は、同時に効能効果又は性能に関する虚偽・誇大広告になる場合が多いと思われますので、医薬品の効能効果等に関して、薬機法と景品表示法の課徴金の対象は、大部分が重なっているといえます。

 

他方、薬機法の虚偽誇大広告は、景品表示法の有利誤認表示のような取引条件に関する虚偽・誇大広告は対象としていないため、医薬品の価格やキャンペーン対象期間などの取引条件に関する虚偽・誇大広告は対象となりません。したがって、例えば、OTC医薬品のウェブ広告で価格やキャンペーン期間について虚偽・誇大広告があった場合、景品表示法の対象にはなりますが、薬機法の対象にはなりません。

 

このような違いも含めて、この2つの制度の異同を以下の表にまとめました。

 

表 薬機法と景品表示法の課徴金制度の比較

薬機法 景品表示法
対象行為 虚偽誇大広告(66条1項) 優良誤認表示(5条1号)
有利誤認表示(5条2号)
対象行為
(優良誤認表示の重複部分)
医薬品等の名称、製造方法、効能効果又は性能に関する表示 商品・サービス全般の品質、規格その他の内容に関する表示
対象者 「何人も」(広告会社や媒体も含まれ得る) 商品・サービスの供給者(広告主)に限定
課徴金額 対象商品の売上(最大3年間)の4.5% 対象商品の売上(最大3年間)の3%



売上要件 課徴金額225万円未満の場合課徴金を課さない
(売上5000万円未満)
課徴金額150万円未満の場合課徴金を課さない
(売上5000万円未満)
行政処分時の裁量的除外規定 業務改善命令等を行う場合等(保健衛生上の影響が軽微な場合に限る)、厚生労働大臣は課徴金を課さないことができる なし
不当表示と知らず、かつ知らないことにつき相当な注意を怠ったものでない場合 認識の有無によって課徴金を課さない旨の規定なし 知らないことにつき相当な注意を怠ったものではない場合、課徴金を課さない



自主申告 減額あり(半額) 減額あり(半額)
返金措置 返金による課徴金の減額なし 返金額を課徴金額から差し引く
課徴金額の調整規定 以下の場合、3%を差し引く
①景品表示法による課徴金納付命令が行われた場合
②景品表示法11条により課徴金納付を命じないこととなる場合
なし
不実証広告規制 なし 優良誤認表示と推定される

 

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