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オンラインジャーナル

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2021.06.09| オンラインジャーナル

EdTechを活用したオンライン教育(研修・セミナー)の法務

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3. 肖像権・プライバシー

臨場感や教育効果の観点から、多数の受講者と講師がリアルタイムかつ双方向でやり取りするオンライン教育の手法が、頻繁に採用されています。こうした授業では、講師や他の受講者が特定の受講者の容姿、声及び背景等の映像を視聴できることが多く、受講者の肖像権やプライバシー権を侵害するおそれがないよう注意する必要があります。

 

一般に、肖像権とは、みだりに自己の容貌等を撮影・公表されない権利をいい、またプライバシー権とは、私生活をみだりに公開されない権利とされ、その侵害の有無は、公表されたものの性質(本人が公表を欲しない程度)、公表の範囲、本人の同意の有無等の事情を総合的に考慮して判断されます。

 

受講者自身も、通常、他の受講者や講師との関係では、その授業内でその容姿等が視聴されることを認識しており、黙示的に承認していると整理できるのではないかと考えられます。他方、事後的に当該授業の動画が公開され、多数の第三者に視聴される場合、受講者が認識し、黙示的に承諾した範囲を超えて自らの容姿等が視聴されることもあり得ます。この場合、当該授業の動画を管理する企業としては、肖像権・プライバシー侵害やそれらを巡る受講者とのトラブルを避けるため、少なくとも事前に受講者に対して動画の公開の目的や範囲等について説明し、可能な限り個々の受講者の同意を取得した上、実際の動画の公開も必要最低限の期間及び範囲に限定することが望ましいと考えます。

 

4. 不正アクセス・情報流出

オンライン教育を実施する上では、第三者による不正なアクセスにも十分配慮が必要です。実際、ある大学でZoomでの授業中に、外部からの不正なアクセスにより授業が妨害された事例や、教育機関独自の学習管理システムがサイバー攻撃を受け個人情報が漏洩した事例が報道されています。

 

オンライン教育を行う企業としては、授業が妨害された場合や情報漏洩が生じた場合、セキュリティ対策に問題があったとして受講者等に対して損害賠償責任等を負う可能性があるほか、そのレピュテーションに悪影響を及ぼすリスクも想定されます。そのため、オンライン教育の場面においても、(Zoom等の外部ベンダーのシステムを利用する場合も含め)通常の業務と同様にサイバー攻撃対策が十分か、点検しておくことが望ましいです。

 

具体的には、技術的な対策を講じることに加え、不正なアクセスが発生した場合に備え、リスク管理に関する内部規程等で対応手順を策定しておくことが望ましいです。

また、不正なアクセスを受けた場合の被害を最小限に抑えるため、オンライン教育のコンテンツに可能な限り個人情報や秘密情報を含めないようにすることが考えられます。

 

さらに、社内向け研修であっても、秘匿性の高い業務上の会議等と同様に、ID・パスワード等の共有や流用をしないよう、役職員に事前に十分注意喚起を行うことが重要と考えます。その際、他人のID・パスワードを無断で利用し、または第三者に伝えることで、不正アクセス禁止法に違反するおそれがあることも明確に伝えることが考えられます。

 

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