日本組織内弁護士協会(JILA)は、組織内弁護士およびその経験者によって創立された任意団体です。

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2020.07.21| オンラインジャーナル

企業における発信者情報開示請求の実務について

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4. 捜査関係事項照会書

警察署長から「捜査関係事項照会書」と題する書面が届くことがあります。これは、刑事訴訟法197条2項に基づく照会であり、この照会に対する回答は、個人情報保護法の「法令に基づく場合」に該当するので、上記の弁護士会照会と同様、本人の同意がなくても、同法違反にはなりません。また、上記照会により求められた発信者情報を本人の同意なく回答することが民法上の不法行為を構成することは、通常考えにくいため、これらの照会には、一般に回答をしている企業が多いと考えられます。

 

もっとも、この照会は任意捜査ですから、(争いがありますが)照会に応じる法的義務まではありません。任意提出ですから、照会に応じないことも可能です。しかし、照会に応じなかったとしても、警察は、重大な犯罪等の捜査に関しては、裁判所の差押許可状を取るでしょうから、いずれ提出させられることになるかもしれません。

 

そこで、重大な犯罪や緊急を要する捜査に関連するものに限定して照会に応じることも選択肢として検討すべきです。

 

ところで、最後に余談ですが、差押許可状は、刑事訴訟法222条1項・110条により「処分を受ける者にこれを示さなければならない」ことになっていますが、発信者情報のように令状があれば提出することの確実なケースに限って言えば、ビデオ会議などオンラインでの呈示でも構わないように思います。その上で、発信者情報を電子メールなどオンラインツールで送付することができれば、遠隔地にある捜査機関とのやり取りがとても円滑・容易になります。

 

以前に捜査関係者に聞きましたところ、この条文は対面での呈示を想定して規定されているため、オンラインでの呈示は現行法上認められないとのことでした。刑事手続の迅速化を進めるため、令状の請求や発付のオンライン化を最高裁と政府が検討し始めたことも踏まえますと、令状の呈示についても可能な範囲でのオンライン化を導入すべきかと思います。

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