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2021.05.08|

クロスボーダーM&A契約の勘所~COVID-19後の展望を踏まえて~

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筆者

髙橋 玄

髙橋 玄(たかはし げん)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー弁護士(日本及びニューヨーク州)。2006年東京大学法学部卒。2012年以降、米国Columbia Law School留学、豪州シドニーのClayton Utz法律事務所勤務、アンダーソン・毛利・友常法律事務所シンガポールオフィス勤務を経て、2016年12月に同所東京オフィス復帰。海外での勤務経験に加え、国内大手証券会社M&Aアドバイザリー部門への出向経験に基づき、国内外のM&A取引、アジア・新興国案件、海外企業の絡む一般相談案件を初めとするコーポレート分野全般において、的確かつ実務的な法的助言を提供している。

 

 

− 目次 −

1. はじめに
2. 英文契約なんて、簡単さ!?
3. マックを入れる?入れない?
4. ロックドボックスでがんじがらめ?
5. おわりに~日本法&日本の裁判を勝ち取ったぞ!?

 

1. はじめに

2010年代、多くの日本企業は更なる発展を目指し、国内外におけるM&Aに積極的に資金を投入するようになりました。ところが2020年、未曽有の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延により、世界全体が恐怖に陥り、筆者が関わるクロスボーダーM&Aの業界も、同年の上半期には、ディールがスローダウンしたり、場合によっては中止を強いられたりと、多大な影響を被りました。それでも、同年の下半期以降、多くの国内外の企業がM&Aの検討を再び活発に行うようになったことは、皆様もご自身の所属先におけるご状況も踏まえ、大いに実感されているところではないかと思います。

 

COVID-19の蔓延は、M&Aディールの進め方にも大きな変化をもたらしています。分かりやすい一例を挙げれば、ウェブ会議が浸透したことにより、当事会社とアドバイザー間の協議はもちろん、相手方との交渉・協議やデューディリジェンスにおいても、ウェブ会議が積極的に用いられるようになりました。また、ディール構造の変化や手続面の変化に加え、当事者間で締結するM&A契約においても、COVID-19の蔓延による影響が及んできています。

 

COVID-19の蔓延によるM&Aへのディールへの影響の大きな枠組みの部分は他の数多くの論稿に委ねることとし、本稿では、筆者が日常的に目にしているクロスボーダー(英文)M&A契約に絞り、特に実務的な勘所をご紹介するとともに、随所でCOVID-19の蔓延による影響につき解説を加えます。日本企業内部からクロスボーダーのM&A取引に関わる多くの方にお読みいただけることを期待しております。

 

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