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2021.02.02| オンラインジャーナル

第一人者が解説 するタイムスタンプの展望

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筆者

梅本 大祐

梅本 大祐(うめもと だいすけ)

弁護士(ブレークモア法律事務所)・情報処理安全確保支援士。情報システム関連の開発契約・紛争処理を中心に、IT関連法務全般に対応。最近ではクラウドサービス等の新規立ち上げに企画段階から関与し、リーガルチェック、規制対応、契約・規約作成、運用支援まで一貫して行う案件を複数扱っている。

2017年から総務省総合通信基盤局消費者行政第二課に出向し、主に違法・有害情報対策を担当したほか、情報処理推進機構(IPA)の専門委員として、2020年に公表されたアジャイル開発外部委託モデル契約の策定に関与。現在、総務省「タイムスタンプ認定制度に関する検討会」委員。

 

 

− 目次 −

1. はじめに
2. タイムスタンプで証明できるもの
3. タイムスタンプの仕組み
4. 企業におけるタイムスタンプの活用方法
5. タイムスタンプに関する最近の議論
6. おわりに

 

1. はじめに

タイムスタンプとは、一般的には広く電子データに付加された日時の記録(例えば、ファイルの作成・更新時刻や、サーバのアクセスログに記録されたアクセス時刻など)を指しますが、この記事で取り上げるタイムスタンプは、過去のある時刻にある電子データが存在したことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術のことを指します。

 

法務担当者にとって、これまであまり馴染みがないかもしれませんが、実は法務の領域にも大きくかかわる技術であり、発明や秘密情報の管理に活用されているほか、近時急速に進展している企業間の電子契約その他取引書類の電子化にも使われています。クラウド型の電子契約プラットフォームや会計プラットフォームにも、実はタイムスタンプサービスが組み込まれています。

 

タイムスタンプは事実の証明に関わる技術であるため、事業者の信頼性担保が重要ですが、現在は、総務省の「タイムビジネスに係る指針」(平成16年11月総務省策定)に基づき、一般財団法人日本データ通信協会による事業者認定制度が運用されています。認定を受けた事業者によるタイムスタンプ(認定タイムスタンプ)の発行件数は、2017年は1億7700万件、2018年は2億3700万件、2019年は3億500万件と、毎年伸びている状況です。

 

現在、タイムスタンプの更なる普及を目指して、国による新たな認定制度の創設が進められており、この記事では、タイムスタンプの概要と、最近の動向について紹介します。

 

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