2020.07.21| オンラインジャーナル
企業における発信者情報開示請求の実務について
3. 弁護士会による発信者情報の照会
次に、弁護士会による発信者情報の照会を受けた場合ですが、弁護士会照会は法律で規定された制度であり(弁護士法23条の1)、照会の必要性・相当性が欠けている例外的な場合を除き、原則として回答する義務があると考えられており、最高裁も、照会を受けた照会先に回答義務があることを認めています(最高裁平成28年10月18日判決)。また、個人情報の保護に関する法律は、本人の同意がなくても第三者に情報を提供できる場合として「法令に基づく場合」を挙げています(23条1項1号)。
したがって、本人の同意なしで、個人情報を含む発信者情報の開示を弁護士会にすることができると考えられます。このことを踏まえると、弁護士会照会には応じている企業が多いのではないかと推測します。
一方で、回答を拒否することに対する罰則規定がないこと、および最高裁も無条件に照会に応じることを認めているわけではないこと(最高裁昭和56年4月14日判決)に鑑みますと、照会に応じない選択肢も考えられます。
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捜査関係事項照会書>
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