日本組織内弁護士協会(JILA)は、組織内弁護士およびその経験者によって創立された任意団体です。

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New2025.08.12| オンラインジャーナル

これからの組織内弁護士は「設計者」になる 〜法務オートメーションが実現する、属人化からの脱却と戦略的価値の創造〜

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4. 法務オートメーションがもたらす定量的・定性的効果

法務オートメーションがもたらす効果は、数値で測れる「定量的効果」と、業務の質を高める「定性的効果」の両面に現れます。

1定量的効果:時間という資産の創出
  • 圧倒的な工数削減
    案件受付や台帳入力、ファイル格納といった定型業務が自動化され、膨大な工数が削減されます。年間1万件以上の手作業がゼロになった事例もあり、その効果は絶大です。
  • 検索時間の劇的な短縮
    過去案件や関連資料の検索時間が劇的に短縮されます。構造化されたデータベースから必要な情報が瞬時に見つかるため、リサーチや検討が加速し、対応スピードが向上します。
2定性的効果:業務品質の向上と属人化からの脱却
  • 対応品質の標準化
    属人化していた判断基準が組織のナレッジとして共有され、誰が対応しても質の高いアウトプットが担保されます。
  • 対応漏れ・人的ミスの撲滅
    案件の進捗管理やリマインドが自動化されることで、「うっかり忘れ」などの人的ミスを撲滅し、コンプライアンスリスクを低減します。
  • 戦略的ナレッジマネジメントの実現
    個々の案件で得た知見(暗黙知)は、退職・異動で失われない組織の永続的な資産(形式知)へと変わります。

 

5. 「効率化」の先にある、法務部門の戦略的価値向上

この効果は単なる効率化に留まらず、創出された時間と情報基盤が、法務部門をより戦略的なステージへと引き上げます。

  • 全社的リスク管理体制の強化
    社内案件が一元的に可視化され、全社的なリスク傾向を俯瞰的に把握できます。問題の兆候を早期に検知し、研修実施など予防的な対策を講じることが可能となり、法務部門は全社ガバナンスの中核を担います。
  • 事業部門との連携強化と信頼獲得
    案件進捗の透明化と迅速な対応により、事業部門からの信頼が向上します。「相談しにくい」イメージから「頼れるパートナー」へと変わり、早期相談に繋がることで、事業の健全な成長を支えます。
  • 高付加価値業務へのシフト
    最も重要なのは、定型業務から解放されたインハウスローヤーが、M&Aや新規事業支援、ルール形成といった、より高度で戦略的な業務に集中できる点です。これは、法務担当者が本来の価値を発揮するための戦略的投資と言えます。

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